小説 スペースシザース【ss】#16
今日は何を着ていこうかな。クローゼットを開けて暫しにらめっこしてた。
そうこうしてるうちに10:20分になっていた。
母「徹!そろそろ行くわよ。」
下で母さんが言ってる。俺は結局いつものマイセット1を手に取り、そそくさと着替えて階段を降りた。
親父「じゃあ行こうか。」
今思えば3人で出掛けるのは大分久しぶりだな。
1ヶ月位前にしゃぶしゃぶを食べに行った以来かな。
車で10分程走り、他愛もない会話をしていると、程なくして松岡屋に着いた。
まずは3人で裁縫セットを見に行く。
物々しく重い入り口をギシッと引いて開け、エレベーターを目指す。
流石は土曜日の昼間だな。一階の化粧品売り場は、女性の1人客とカップルの群れが沢山居て、むせ返る香料の匂いと、人の群れの匂いで、頭が痛くなってくる。
そそくさとエレベーターに乗り込み、五階に到着した。
ここはワンフロアの半分がクラフトショップで、とても広い売り場に様々な商品が陳列されている。
俺「一通り見たいからブラブラして来るね。」
母「分かったわ。お父さんあっち見てみましょう。」
俺は店内を色々物色して、裁縫道具のコーナーに辿り着いた。