小説 スペースシザース【ss】#13
母「徹ーご飯出来たわよー。」
下で母さんが呼んでいる。
俺は部屋を軽く片付けて、階段をスタスタと降りる。
リビングには父も起きて来ており、寝間着のまま煙草を吹かして新聞を読んでいる。
父「ほう。あの犯人まだ捕まって無いとよ。
あんな大きな強盗事件を起こしておいて。
日本の警察はどうなってるんだ。全く。
税金を有効に使って欲しいもんだよなぁ。
母さん。」
母「そうよねぇ。大根の1つでも安くして欲しいものよね。」
父「そうそう。」
これで会話が成り立ってるんだからウチは平和なもんだよ。全く。
父「おい徹。お前はもう直ぐ社会人になるんだ。父さんの様にはなるなよ?俺は散々苦労してきたから、お前は平坦な普通の道を進んで欲しいんだ。分かるな?」
俺の親父は、中卒で元プロボクサーで、大酒飲みの現役公務員ってんだから、素っ頓狂も良いとこだ。
良く業務用アルコールのビックマンとか言うデカイ2Lのボトルをデーンと置いて、ボクシングのDVDを見ながら、パンチに合わせて身体をクネクネしてる。
ダッキングとウェービングが身に付いてるから、反射的に身体が動いちゃうんだって。
酔った勢いもあって、そりゃもうクネンクネンって忙しない。
見てて楽しいよ。ホント。