小説 スペースシザース【ss】#4
俺「でもまぁ、宏美は世渡り上手だから何をやらせてもソツなくこなせるでしょ?結局何かは仕事しなきゃいけないんだしさ。それに宏美は美人だし!」
宏美「まぁね!」
俺「っおい!!」
ランチを食べながら、こんな会話をするのがいつもの俺達の楽しみだ。
しかし、本当にやるならしっかりとデザインをやってみたい。
さっきの宏美に言った言葉は、自分に言い聞かせていたかの様に思えて、少しだけ変な気持ちになっていた。
翌日。昨日のそんな流れもあってか、俺は少しだけ就活に前向きになっていた。
結局は世の中の1歯車になって社会人としてやっていかなければならないんだ。
それならば、やってみたいと思える事をやってみるまでだ!
就活は自分をいかにアピールするかだぞ!と、先生方は言っていたが、俺は、違う気がしていた。
むしろ真逆。いかに自分を抑えるかだと思ってる。
だってそうだろ。自分の時間という労力を提供し、対価として賃金を得る。
それが、仕事なんだから、いかに自分を抑えて、隠して、どんな苦痛を味わおうとも、何も苦痛を感じません!と言える奴が優秀な人財なんだろう。
それが上手い奴ほど早くに出世し、少ない労力で、高い賃金を得られるようになるのだろう。
あぁ。考えただけでも嫌になってくるな。