小説 スペースシザース【ss】#3
そのファミレスは学校を出て3分位の所にあるんだ。
宏美は歩きながら午前中の授業の不満を少し漏らしながらも、いつもの光景に表情はにこやかだった。
ファミレスに着き、顔馴染みの笑顔が爽やかな店員さんが近づいて来た。
店員「お二人様で禁煙席で宜しいですね?」
いつ来てもココの接客は気持ちが良い。
流れる様に、もはや指定席と化している一番奥の二人掛けの席に案内された。
席に着くなり、宏美が大きな溜め息を漏らした。
宏美「はあぁ……。もう卒業まで1ヶ月切ったね?」
「徹はやっぱりデザイン事務所で、バリバリのデザイナーの道を進むんだよね?」
「私はまだ決めきれてなくて、普通にOLでも良いかなぁなんて思えて来ちゃってさぁ。」
「ねぇ。どう思う?」
俺「俺はやっぱり自分でデザインして、布から素材を選んで、作った物がショップに並んだら最高だな!って思うからさ。やってみたいんだよね!」
宏美「良いよね徹は。裁縫とか裁断とかも、顔の割には細かくて上手いしね。」
俺「顔の割には余計だ!」